●ヴァリスの真珠
 ツェルマットを後にし、次の目的地サースフェーへと向かう。サースフェーは「ヴァリスの真珠」と呼ばれており、とても美しいところだ。サースフェーへは、ブリーク駅からフィスプ駅を経由するバスに乗って行ける。ジュネーブやチューリッヒから行く人は、このどちらかの駅からバスに乗り換えればいいが、私たちは、ツェルマットから行くので、最寄のシュタルデンサース駅で乗り換えることにした。
 シュタルデンサース駅でバスを待っていると、一人の若い日本人がサースフェーのバス乗り場はここでいいかと声をかけてきた。話を聞くと、彼は日本から来たのではなく、ケニアで2年間青年海外協力隊に従事し、その任期が終わって日本へ帰る前に、自分に対してのご褒美として、スイスへやってきたそうだ。
 黄色いPTTバスに揺られて、サース谷を上流へ上がっていく。サースグルンドで川と分かれ、くねくねした坂を一気に上がっていくとサースフェーだ。屋根付きのターミナルから外へ出ると、目の前にフェー氷河が迫ってくる。しかし、このフェー氷河も温暖化が原因で、年々後退しているそうだ。
 さて、宿泊先はホテルブリタニア(★★)。事前にFAXで予約を入れていたのだが、そこには、電話をしてくれたら迎えにいくと書いてあったので、電話をしてみることにした。しばらくすると、オレンジ色のかわいい電気自動車(といっても、軽トラックの小型版のような感じだが。)が来た。中からは人のよさそうなひげの主人が出てきた。私たちは、荷台へ後ろ向きに乗り、ホテルまで荷物と共に運んでもらった。
 ホテルの部屋は、木の雰囲気がとてもいい道路に面した3階の部屋で、事前にドム(ここの山々の主峰)が見える部屋を指定しておいたので、窓から山々や氷河がよく見えた。
 また、ここのホテルは、ハーフボードになっている。自分で特定のものを食べようと思っている方には少々窮屈だが、私のように、おいしいものが食べれるなら何でもいいと思っているものには、都合がいい。
 明日は、ホーサースとマットマルク湖へ行ってみることにした。

サースフェー周辺のマップ

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サースフェー周辺のマップ
この地図は、北から南(つまりイタリア方向)を見たものです。
シュタルデンサースの駅
サースフェーのバスターミナル
シュタルデンサースの駅
サースフェーのバスターミナル
サースフェーの町並み
フェー氷河
サースフェーの町並み
フェー氷河
●ホーサースとマットマルク湖
 まず初日は、サースフェー周辺を後回しにして、サースフェーから少し下ったところにある、サースグルンドにあるホーサースへ行くことにした。なぜ、サースフェーを後回しにしたかというと、「サースフェーを見るなら、ホーサースからの眺めが一番」と、行かれたみなさんがおっしゃるからである。
 サースグルンドまでは、バスで5分程度。ハイキングがてらに歩いて行くこともできる。そこから、ケーブル乗り場まで5分ほど歩き(ケーブルカー乗り場近くのバス停もあったようだが)、ロープウェー乗り場へついた。
 あいにくの天気で、 あいにくの天気で、ロープウェーでホーサースへついた時は、少し雨が降っていた。ここには、ほかの有名な展望台とは違って、小さな小屋の喫茶店があるだけで、ほかにはなにもない。しかし、眺めは最高によく、サースフェーがよく見えた。また、氷河が間近に見ることができた。
 ふと見ると、がけの上を見上げている人がいたので、いっしょに上を見てみると、何かがこっちを見ている。その人は、「シュタインボック」と言った。野生のシュタインボックがこんなところで見ることができるとは思わなかった。シュタインボックは、15mほどのがけの上から、こっちを見下ろしていた。この姿は、私が想像していた野生のシュタインボックそのものだった。シュタインボックは、ゴルナーグラート展望台でも見たが、餌付けされているのとは風格が違った。
 この後、サースグルンドのレストランで軽く昼食を済ませ、次の目的地、マットマルク湖へ向かった。ガイドブックによると、この湖は人造湖で、この周辺にはたくさんの花が咲いており、湖周辺は平坦な道なので、気軽にハイキングが楽しめるとのことであった。(参考:「スイス・フラワートレイルの旅」 秋本和彦、土田勝義著 新潮社刊)
 バスに揺られて30分ほどで、終点のマットマルク湖へ着いた。天気はますます悪くなってきて、小雨模様になってきた。しかし、せっかく来たのだからということで、ハイキングをはじめた。が、思ったほど花がない。どうも、今年は花の咲くのが早かったのか、開花時期がずれてしまったようだ。天気は悪いし、花はないし、この場所は期待していたほど楽しむことはできなかった。
 何とかバスの時間に間に合うように湖の周りを一周(約2時間)して、サースフェーへと帰った。
 バスに乗っている途中、サースアルマゲルというところを通ったが、この周辺も川沿いなどにハイキングコースがあるようで、時間があれば、このあたりを散策しながら、サースフェーへ帰るのもいいかもしれない。
サースグルンドのバス停
ホーサース行きロープウェイ乗り場
サースグルンドのバス停は、教会の前にある
真中に見えるのがホーサース行きの乗り場
マットマルク湖のバス停
マットマルク湖をハイキング
終点マットマルク湖のバス停
写っている家は喫茶店
このアングル、本で見たことある人います?
(上記本p34〜35の写真)
マットマルク湖の花 マットマルク湖の花
花は少なかったですが、こんな花は咲いてました
●マーモットを探して
 今日は、スイス最高所にあるという回転展望台を見て、午後から巨大ねずみ(?)のマーモットを探しにハイキングをすることにした。しかし、ツェルマットでの無謀なハイキングで、ガタガタになった足は、この時もまだ影響しており、初心者向けのゆっくりと下るルートしか行くことができなかったので、ハンニックというところから町までのハイキングコースを選んだ。
 まず、ミッテルアラリン展望台へ向かう。サースフェーの町から「アルピンエクスプレス」という大型のゴンドラリフトにのり、マステ4というところでフェルスキン行きに乗り換える。フェルスキンから、さらに、地下ケーブルカー「メトロアルピン」に乗って3分間でミッテルアラリンに着く。全部で20分程度の行程だ。(フェルスキンまでは、町外れからのゴンドラに乗っても行ける。)
 早速、外に出て周囲の景色を見渡した。夏でもスキーができるこの場所は、大勢のスキーヤーでにぎわっていた。私たちはスキーができないので、その姿がとてもうらやましく思えた。
 その後、回転レストランへ行く。回転レストランは、ゆっくりとした回り方で、私たちにすばらしい山並みや町の景色を楽しませてくれた。値段は山の上だからといって高い値段ではない。コーヒーしか頼まなかったが味もよかった。
 レストランが1回転して元の場所に戻ったので、町へ戻ることにした。レストランを出て、ケーブル乗り場への途中にアイスパビリオンの看板を発見した。せっかくなので中に入ってみると、氷河の掘り方の模型や氷の彫刻などが多数展示してあった。中には、氷でできたピングーの家もあった。(ピングーはスイス生まれ)
 さて、町へ戻り、昼食代わりにケーキを食べ、マーモットを探しに、ハンニックへ向かった。事前の情報では、サースフェーには野生のマーモットもいるが、餌付けされたのもおり、必ず見つけることができると聞いていた。実は、この時、その場所の情報をよく覚えておらず、あてにならない勘を頼りに行動していたのだった。
 ハンニックに着くと、子ども連れの家族がいた。子どもはしきりに「マーモット!マーモット!」と叫んでいた。どうやら、あの子どももマーモットを探していたようだ。家族連れは、上のほうへ上っていたが、私たちは、町へ向かうハイキングコースを下っていった。マーモットを探しながらも、草花を楽しみつつ、ハイキングを楽しんだ。どんどん、町へ下っていくがマーモットは見当たらない。それどころか、ほかの動物たちとも会わない。結果的に何の動物と会うこともなく、町へ戻ってきた。どうやら、検討違いの場所を探していたようだった。
 この日の夜、私と同じ、スイスが大好きなぼっけいさんとお会いすることができた。そこで、マーモットを探している話をすると、餌付けされているのは、シュピールボーデン付近ということだった。翌日は、移動日だったが、出発時間を少しずらして、この場所へ行って見ることにした。
メトロアルピン
回転展望レストラン
メトロアルピンでミッテルアラリンへ
左の建物が回転レストラン
アイスパレスの中
ピングーのイグルー
アイスパレスの中
ピングーとツーショット
フェー氷河
サースフェーの森の中
氷河をバックにポーズ
森の中は気持ちいい
●ついに発見!マーモット!!
 次の日の朝、食事を終えて、早速、前日のぼっけいさんからの情報をもとに、シュピールボーデンへと急いだ。ロープウェイに乗り、祈る気持ちで、真下にマーモットを探す。
 遠くに駅が見え始めると、真下に無数の穴が見えた。「これがマーモットの巣穴か。」と思った次の瞬間、なにか動くものを見つけた。「あれ、マーモットと違う?絶対そう!」二人ともが、動くものに食い入っている。駅が間近になると、数匹のマーモットが動いているのがわかる。
 あせる気を押さえながら、駅を出て、マーモットを見つけた場所へと急ぐ。いた!マーモットだ。ようやくめぐりあえることができた。先客に子ども連れの家族がいて、えさをやっているようだ。人間がえさを与えてくれるのを知っているようで、ほとんど警戒心がない。駅の隣のレストランに、「マーモットフード」と書いてあったので、それを買い(パンくず、にんじん、ピーナッツが少しずつ入って2スイスフランだった。)、マーモットの近くで、えさを出してみた。まずは、パンくず。よってはくるが、食べようとしない。ここのマーモットはぜいたくなようだ。次に、にんじんを出す。これは、おいしそうに食べる。最後に、ピーナッツ。これも食べた。
 結論から言うと、にんじんやピーナッツは食べるが、パンくずは食べない。また、レストランで売っているえさは、内容のわりに値段が高いので、町のスーパーで、にんじんかピーナッツを買い、それを持って上がるのがいい。なお、ここのマーモットは、警戒心がまったくないが、普通は、非常に警戒心が強く、このようにえさを与えることは難しいようだ。
 いずれにしても、約1時間の間、マーモットと遊び(もしかすると、遊ばれてたのかもしれないが)、目的を達成することができた。
 この後、ホテルへ戻り、チェックアウトする手続きをした。その時にホテルのオーナーから、奥さんが作ったという手作りの記念品をもらった。サースフェーでのいい記念ができた。
 さあ、旅もいよいよ終わりに近づいた。次は、チーズのふるさとグリュイエールだ。
マーモットのえさの看板
マーモット
「マーモットのえさあります」という
かんばんがある
えさに食らいつくマーモット
子供とマーモット
マーモットが2匹
遊びに来ていた子どもにもよってくる
穴の中のマーモットと何やらお話?
●チーズのふるさとを訪ねて
 私たちは、サースフェーからグリュイエールへと向かった。しかし、決して道のりは近くない。まず、バスでフィスプまで行き、そこからスイス国鉄に乗り換えレマン湖のほとりの町モントルーまで行く。ここで、MOB路線に乗り換え、モンボボンまで。さらに、GFM路線に乗り換えて、ようやくグリュイエールにつくのだ。
 グリュイエールは小さな村である。駅の周りにはチーズ博物館しかなく、あとは、駅の小さな売店のみ。ガイドブックに紹介されているグリュイエール城周辺は、駅から小高い丘を15分ほど登らなければならない。私は、事前に予約をしておいたホテルに電話をして、ホテルの方に車で迎えにきてもらった。
 グリュイエール城を中心にした村は、城までの200mほどの沿道に、店やレストラン、ホテルが軒を連ねている。私たちは、その一角にあるホテルに予約を取っておいた。が、私は、そこで初めて、自分がミスをしていることに気づいた。ホテルの台帳に私たちの名前がないのだ。そんなはずはないと思い、家から持ってきた予約回答のコピーをよく確認してみると、予約をした日が明日になっているではないか。しかし、ホテルの方は、部屋はあるから大丈夫と言ってくれた。グリュイエールはホテルの数が4件ほどなので、万が一団体客などが集中していて満杯だった場合、泊まるところがなくなるのではと思い、ほかの宿泊先よりも優先的に予約を取ったはずだったのだが・・・。
 さて、宿も確保できて、グリュイエール城やその他の店を回る。グリュイエールの「グリュ」は鶴をあらわしているそうで、村のシンボルマークにもなっている。そのため、あちこちに鶴のマークがあった。
 グリュイエール城の中には、多くの部屋があり、その中に、グリュイエールの歴史を語る絵が何枚か飾ってあった。その下には、年号が書いてあり、この時期にこういうところと戦争をしたというような内容が書かれていた。 夕方6時を過ぎて、おなかがすいてきたので、泊まったホテルのレストランで本場グリュイエールチーズを使ったラクレットを食べることにした。ラクレットは、ラクレットオーブンでチーズを溶かし、そのチーズをふかしたジャガイモに絡めて食べるという単純なもの。しかし、素材がいいので、とてもおいしかった。ぜひ、チーズの本場でラクレットを食べてみられることをお勧めする。ただ、この時間でも夏はまだ日が高く、外で食べたためかなり暑かった。
 次の日、午前中にここを出発し、ベルンへ行かなければならないので、ホテルの方に、また駅まで送ってくれるようにお願いした。そうすると、お昼前に、ここでスイスホルンの演奏会があるから、見ていったらと薦めてくれた。
 11時になり、大きなスイスホルンを持った人たちがホテルの前の広場に集まってきて、演奏会が始まった。私は、その音のすばらしさに、演奏が終った後もしばらく感動していた。
 思いがけない生演奏を聞け、楽しかった旅も次のベルンで終りになろうとしている。
パノラミックエクスプレス
グリュイエール鉄道
MOBのパノラミック・エクスプレス
GFMのローカル列車、2両編成だった
グリュイエール城
グリュイエール城からの風景
グリュイエール城
グリュイエール城から見た風景
お店のショーウインドウ
ラクレット
お店にはチーズ関連商品がたくさんあった
長方形のラクレットオーブンで溶かした
チーズをジャガイモに絡めて食べる
スイスホルン
グリュイエール駅
スイスホルンの演奏会
グリュイエール駅
●世界遺産の街ベルン
 グリュイエールからベルンへ抜けるには、何度か乗り換えて行かなければならない。まず、グリュイエールからビュールまで鉄道で行き、そこからフリブール行きの直行バスに乗る。そして、フリブールから再び鉄道でベルンへ行くのだ。無論、これ以外のルートもあるが、私が事前に調べて行った中で、一番このルートが早いと判断できたし、グリュイエールのホテルのオーナーも、同様のルートを教えてくれた。
 さて、順調に乗り継ぎ、とうとうベルンへついた。今日泊まりのホテルは、ベルン駅前のCity Am Bahnhofである。3つ星ホテルだが、近代的な内装に比較的リーズナブルな宿泊料金だ。
 ホテルに荷物を置き、半日だけのベルン観光に出かけた。まず目標は、世界遺産に指定されているベルン旧市街が見渡せるという、バラ公園だ。トロリーバスに乗り、10分もしないうちにバラ公園の下にある熊公園についた。熊公園といっても、深めの堀の中に数匹の熊が飼われているだけの小さな公園だ。なぜ熊公園かというと、ベルンの名は、ドイツ語の熊(ベーレン)が元になったのではと言われているからだ。そう言えば、ベルン州の旗にも熊が描かれている。
 ここから、バラ公園まで登りなので、もう一度トロリーバスに乗り、バラ公園の裏から行くことにした。ちょっと遠回りだが、郊外の雰囲気を味わうものまた楽しい。
 バラ公園から旧市街を見る。川を挟んで、レンガ色の屋根が、向こうのほうまで続いている。さすが世界遺産に登録されたところだけある。ここのカフェで少し休憩をして、旧市街へと戻る。
 この日は日曜日で、店はすべてしまっている。都心部で買い物をしようと思っている人は、土曜日の昼からと日曜日は避けたほうがいい。なぜなら、何も買うことができないからだ。
 ぶらぶらと旧市街を歩くと、道の真中に彫刻装飾がついた噴水がある。全部で11個あり、それぞれに名前がついているそうだ。また、しばらく行くと、大きな時計塔がある。機械仕掛けのもので、16世紀に作られたものらしい。
 時間がないので、十分にまわれなかったが、歴史の雰囲気だけは味わえた。
 翌日2階建て電車に乗り、チューリッヒ空港へ。お土産のシュプリングリのチョコレートを空港で買い、3度目のスイスとさよならをした。
 毎回旅するたびに、スイスの奥深さを知り、さらに知りたいがために、次の旅への思いがまた深まる。次回も旅に出ることができれば、また、スイスと会ってみたい。
ビュールのバスターミナル
フリブール駅のホーム
ビュールのバスターミナル
フリブール駅ホーム
熊
ベルン旧市街
熊公園の熊
ベルン旧市街の町並み
ベルンの噴水
時計塔
このような噴水が11個
時計塔は昔牢獄の役割も果たしたとか
アーレ川
ベルンの建物
夕方のアーレ川と旧市街
真中のぶら下がっている人は実は人形
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