●再び関空から  
 今年も夏がやってきた。新婚旅行以来、ヨーロッパ旅行がやみつきになり、今年も関空から旅立つことになった。今回の目的地はスイスのみ。今回5回目となるヨーロッパ旅行で、初めて1カ国のみの滞在となる。
 さて、この旅行最初のイベントは、インフライトオフ。お友達のヨッコさん・ケコさんと同じKLMの便でフライトすることになり、インフライトオフを決行。あいにく席は通路を挟んで少し離れてしまったが、インフライトオフは無事に成功した。
 アムステルダムへついた私たち夫婦2人と、ヨッコさん・ケコさん2人の計4人は、とりあえずリコンファームができるかなと思い、KLMのカウンターへ。しかし、到着地でしてくれと断られる。仕方がないので、チューリッヒ行きの飛行機が止まっているゲートまで歩くことにした。しばらく行くと、向こうのほうからガードマンのお姉さん(?)が歩いてきた。特に気に留めず、そのまま歩いて行こうとすると、「パスポートを見せろ」と突然言われた。で、私のパスポートを見せると、何事もなかったように、そのまま立ち去って行った。他の3人は私が怪しいから止められたんだと言うのだが、私は、怪しい東洋人4人組がいると思い、先頭を歩いていた私を止めたんだと言い張った。なぜ止められたかは、このガードマンのみぞ知る。
 さて、一行は無事にチューリヒ空港へ着いた。すぐに私たち夫婦はスイス国鉄の空港駅で15日用スイスパスを、ヨッコさんたちは、半額パスを買うことにした。これらのチケット購入場所は、切符売り場ではなく、その左隣だ。
 切符も買い、ヨッコさんたちはライゼゲペック(スイス主要駅間の荷物の宅配便)を使いツエルマットまで荷物を送った。準備完了。チューリッヒ中央駅へ移動する。たまたま、ヨッコさんたちと泊まるホテルまでいっしょだったので、ホテルまでいっしょに行くことにした。チューリッヒ中央駅から、歩くこと15分、目的のホテルが見えた。下りる場所によってはもっと近いのだが、一番遠いところに下りたことと、私たちが重いスーツケースを預けなかったため、その分ホテルまでの時間がかかってしまったのだ。
 とにかく、1日目無事に終了。さあ、明日に備えて、今日は早くに床につくことにしよう。
KLM
リマトホフ
水色の機体は超有名(?)
昔から良質な安宿として
有名なホテルリマトホフ
●イントラーニャを目指して  
 さて、2日目。今日から本格的に旅が始まる。今日の目的地はイントラーニャ。あまり聞きなれない地名だと思う。私自身、スイス通の方々に聞くまでは、「そこってイタリアですか?」と聞いていたぐらいだから。でも、ちゃんとスイス・ティチーノ州の中にある街である。ここまでは、列車を乗り換えながら移動する。まず、荷物をイントラーニャの次の目的地、ツェルマットへ送る手続きを済ませて、身軽になったところで、とりあえず、チューリッヒ市街を散策することにした。
 まず、バーンホフ通りをまっすぐチューリッヒ湖に向かって歩く。去年来た時と同じ景色だが、至るところに牛がいる。もちろん本物の牛ではない。カラフルにペイントされた牛が街中にいる。チューリッヒ市のキャンペーンらしいが、ここまでやると大した物だ。もちろん、あとで牛と写真を撮ったのはいうまでもない。
 チューリッヒ湖の手前のビュルクリ広場で、何やらにぎやかなところを発見!どうやらノミの市みたいだ。露天の数は100はある。広場にところせましとひしめき合って並んでいる。何を売ってるのかよく見てみると、なんだかガラクタっぽいものがたくさんある。アンティークなものなら価値もあるだろうが、どうみてもガラクタである。一通り見終わったので、チューリッヒ湖畔へいくことにした。
 湖畔は船着場があり、ここから、チューリッヒ湖を遊覧できるようだ。しかし、今日の目的はスイスの南、イントラーニャへ行くこと。次の機会に乗ることにして、ケー橋を渡りリマト川の対岸へ行くことにした。ガイドブックに載っていた店へ行くためである。「ギルド会館の近くのカフェSchoberという店では、生クリーム入りホットチョコレートがおいしい」と書かれてあったので、そんなにおいしいのならぜひ一度とばかり、目的の店を探しに歩いた。しかし、なかなか見つからず、20分ほど探し回ってようやく見つけた。店の中は、結構混んでいて、3階のテーブルにつき、ホットチョコレートを注文した。大きなマグカップにたっぷりのチョコレートと生クリーム。飲んでみると、感動するほどおいしい。改めて、スイスに来たことを体で感じた。さあ、いつまでもチューリッヒでゆっくりしているわけにはいかない。トラムに乗り、チューリッヒ中央駅へ急いだ。
 駅に着き、時刻表を見る。ミラノ行きのIC(インターシティー)383が乗れそうだ。ちょうど、列車の中でお昼どきになるので、売店でパンとジュースを購入し列車へ乗りこんだ。列車が走り出すと、街の風景から湖や農村の風景へ変わっていく。何度見ても、日本ではなかなか見られない風景だ。2時間ほどの旅の後、最初の乗換駅ベリンツォーナへ着いた。ここでロカルノ行きの列車に乗り換え十数分。マッジョーレ湖のほとりの町ロカルノに着く。あまり乗り換え時間がない。次の地下にあるチェントバーリ鉄道の駅へ急ぐ。事前に聞いた話では、ローカル電車ということだったので、古びた汚い列車を思い浮かべていたのだが、列車自体はさほど大きくないものの新しく、車内も明るかった。列車は谷沿いを十数分走って、イントラーニャに着いた。
 さあ、最初の目的地、歴史が止まった村、イントラーニャだ。
うし!
ノミの市
至るところに、牛、うし、ウシ!!
ノミの市は、人も店もいっぱい!
チェントバーリ鉄道のロカルノ駅
チェントバーリ鉄道の列車
ここがチェントバーリ鉄道駅への入り口
チェントバーリ鉄道の列車は思った以上に美しい。
●歴史が止まった村  
 イントラーニャは、川と山とに挟まれた小さな村。駅に降りたって、日本の田舎を思わせるような雰囲気が漂う。今日の宿はここと決めているが、予約も何もしていない。とにかく、山の方へ歩いて行って、ホテルを探すことにした。まず、駅舎から車道に沿ってあがってくると、ホテルの看板が見えた。とりあえず、ここで泊めてもらおうと階段をのぼる。と、泉のある小さな広場に出てきた。そばに教会があり、教会前広場といった感じである。
 私たちは、ここに来て驚いた。周りの建物をよく見ると、石を積み上げて作られている。屋根も石で瓦のように作ってある。歴史がここだけ止まっているようだ。スイスの家のイメージとは、とてもかけ離れていた。しかし、まぎれもなく、ここはスイス。私は、他の観光者の知らない違うスイスの顔を見つけたような気がして、妙に嬉しかった。
 この教会の前にホテルがあり、ここで、チェックインすることにした。ここの主人らしき人が出てきたので、「予約していないが、部屋は空いているか?」とカタコト英語で聞く。が、どうも、英語がなんとなくしかわからないようだ。でも、そこはスイスのホテル。雰囲気を察したのか、部屋を見せてくれて、「OK?」と聞いてくれる。「OK」と答えると、宿帳をさしだした。どうやら無事に、寝床が確保できたようだ。その後、フロントに貼ってある航空写真で、簡単にこの村の説明をしてくれた。といっても小さな村なので、「ここが教会、ここが駅、ここがプール。」で終わり。プールというのは、このホテルに設置してある宿泊者用のプールのことらしい。場所が50mほど離れているので、プールの場所まで説明してくれたのだ。
 ホテルに荷物を置いて、散策にでかける。山手の方へ少し歩くと、目の前が開けた。ブドウ畑である。さらに向こうの方は、また、山になっている。この近くに住んでいるおばあさんと出会った。「ヴォンジョルノ!」 「ヴォンジョルノ!」。ただそれだけだったが、旅行者を見てあいさつしてくれるのは、こういう場所だからだろう。あいさつ一言で、心が和む。
 周りを散策して、教会前の広場に戻ってきた。その片隅に、小さな店がある。ちょうど水がなかったので、水を買いに入ってみた。中には、みやげ物の小物が並んでいた。ここの老夫婦、どうも英語がわからないようだ。思いきって、「アックア ミネラーレ オーネ ガス!(ガスなしの水!)」と、イタリア語で聞いてみる。あとから考えてみると「オーネ」はドイツ語。「センツァ」が正解。あいさつと、このことしか知らないイタリア語。それさえも間違えてしまうとは・・・。ただ、それを聞いて、「アックア ミネラーレ オーネ ガス、オーネ ガス・・・。」とオウム返しのように口ずさみながら、ガスなし水を探す主人もすごいと思った。ここは、スイス。改めて、3カ国語が公用語になっているところだと感じたのだった。
 結局、水はガス入りしかなく、仕方なくその水を買った。ふと、目の前を見ると、なにやら怪しいものが売っている。何か葉っぱを乾燥させたもののようだが・・・。手にとると、どこか覚えのある匂いがする。ミントの葉っぱを乾燥させたもののようだ。説明したいが説明できない主人が困っているときに、少し英語がわかる、老人が現れた。その老人の話を聞くと、「熱湯に入れて、5分ほどすると、ミントティーができる」ということだった。ミントティーは日本でも買えるが、面白そうなので、買ってかえることにした。(旅行から帰って、実際にミントティーを作ってみたが、ティーポットの中を見ると、本当にそのままのミントの葉だったのでビックリした。)
 夜になり、光々とした月明かりの中の村もまた違った雰囲気をかもしだす。あたりは静かだが、下のレストランからのにぎやかな声だけが、妙に響く。本当ならば、さらに散策を楽しむつもりだったが、この日は、ワールドカップの試合の日。ついつい、テレビにくぎ付けになってしまった。
 歴史が止まった村「イントラーニャ」は見るところは少ないが、立ち寄ってみる価値は十分にあるところだと思った。
イントラーニャの教会
石畳
村を象徴するかのような教会
細い石畳の階段が続く
石の屋根
看板
屋根も石でできていた
日本でも田舎で見かける
アースの看板のようなものだろうか
●シンプロン峠を越えて  
 翌朝、次の目的地ツェルマットへ向う。普通、イントラーニャからツェルマットへ行くなら、イタリアのドモドッソラへ出て、ここで、ブリーク行きの列車に乗りかえるのだが、今回は、ドモドッソラからシンプロン峠越えのバスに乗り、ブリークへぬけるルートを選んだ。
 イントラーニャ駅から乗った列車は少々混雑気味だ。仕方なくドアのそばに立っていくことにした。ドアの窓は、足元付近までガラスが入っており、ここから線路沿いの谷がよく見える。このあたりは、「チェントバーリ」と呼ばれている。「チェントバーリ」とは「百の谷」を意味する。確かに、谷が百あると思わせるほど、延々と谷が続いている。
 国境の駅カメドを過ぎイタリアに入る。といっても、景色は変わることはない。ここから約1時間、途中小さな村を通りすぎながら行くと、前方の下のほうに町が見えてきた。終点ドモドッソラの町である。このあたりから、列車は弧を描きながら、どんどん下っていく。そして、約15分ほどでドモドッソラの駅に着いた。
 イタリア国鉄ドモドッソラ駅の構内に入ってみると、目の前に白っぽい列車が止まっている。列車の文字を見るとチザルピーノと書いてある。こんなところで、チザルピーノ号(イタリア国鉄の最新型新幹線)をみることになるとは思わなかった。どうせなら乗ってみたかったが、目的はバスでの峠越え。次回乗れることを期待して、PTTバスを探す。
 イタリア国鉄駅を出ると、PTTバスが止まっていた。行き先を確認する。たしかに、ブリークと書いてある。このバスに乗って峠越えをするわけだ。
 バスは定刻通り出発した。お客の数は、私たちをいれて5人ほど。しかし、バスを走らせて、ゴンド、シンプロンといった小さな村々に停車し、少しずつお客をひろっていくと、徐々に席がうまっていく。、ハイキング客も混じり、バスの中はにぎやかになっていく。
 発車してから1時間後、シンプロン峠までやってきた。至るところに車が駐車してある。メインストリートはもちろん、細い脇道までも。その脇道をバスが通りにくそうにしながら進んで行く。どこの国でも観光地は同じなんだなぁと実感する。
 本当はここで下車するといいのだが、時間的に余裕がないので、バスの窓越しに、周りの風景を見ることにする。と、丘の上にワシの像が立っている。これは戦争のときにここを守り抜いたスイス国防軍の記念碑らしい。かなり大きなもので、遠くからでもよくわかる。さらに、目を遠くの方にやると、雄大山々が見える。これは、ユングフラウなどベルナー・オーバーランドの山々だとあとでわかった。
 あとは、ブリークまでひたすら峠を下る。途中ガンタータールというところで大きな谷にかかる、白っぽいコンクリート橋に出くわす。以前は、遠回りをしないと越えられなかったこの場所が、この橋ができたことによって短縮されたようだ。橋の上からの景色はまた格別にすばらしい。
 ブリークに着き、ツェルマット行きの列車を探す。とりあえず駅が見えたのでそっちのほうへ歩いていくと、スイス国鉄の駅。じゃあ、BVZの駅はどこ?周りを見渡すと、さっき歩いてきたところに、路面電車の駅のようなホームがあり、これが、BVZの駅だとわかった。この場所知らない人は、一度は探しそうなところである。
 時間は14時30分。お腹も空いたので、国鉄駅構内のレストランで軽い昼食をすまし、1時間後、ツェルマット行きの列車へ乗りこんだ。マッターホルンは、顔を見せて出迎えてくれるだろうか?答えはイエスだった。ツェルマット駅から、電気自動車で宿泊先、ホテルメトロポール(★★★)前へたどり着くと、目の前に、きれいなマッターホルンが見えた。はじめてみるマッターホルン。思ったより大きいので、感動してしまった。当然、ホテルの部屋に入るとマッターホルンをバックに写真を取ったことはいうまでもない。
 明日からのハイキングが楽しみだ。

 

チェントバーリのポスター
ドモドッソラの町
駅に貼ってあったポスター
チェントバーリの鳥瞰図
ドモドッソラの町が見えてきた!
ドモドッソラ駅前
ゴンドの村の標識
ドモドッソラ駅前。右にブリーク行きのバスが見える。
ゴンドの村にあった道標
ブリーク、ドモドッソラまでの距離が書いてあった。
戦士をたたえるわしの像
谷間にかかるコンクリート橋
丘の上にはワシの石像が・・・。
コンクリートの橋がそびえ立っている。
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